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ツール・ド・おきなわの魅力 ~相沢康司氏に聞く~
2005年からツール・ド・おきなわ4連勝中のエキップアサダに所属し、08年ツール・ド・おきなわ参戦後、惜しまれながら引退した相沢康司氏(愛称:こ~ぢ)が、7月下旬、屋我地ロードレースのゲスト観戦と北中城高校自転車部合宿指導の為に来沖しました。
忙しいスケジュールの中お時間を頂き、ツール・ド・おきなわの魅力についてツール・ド・おきなわ 森実行委員長とお話をうかがってきました。
エキップアサダのツール・ド・おきなわ戦歴
2005年 1位 田代恭崇、2位 井上和郎(ブリジストン・アンカー時代)
2006年 1位 宮澤崇史 (チーム バン)
2007年 1位 宮澤崇史 (NIPPO梅丹)
2008年 1位 新城幸也、2位 清水都貴 (梅丹GDR)
地元の子どもからオジイ・オバアまでの声援が、ツール・ド・おきなわの楽しみ
森:相沢さんにとってツール・ド・おきなわってどんなレースですか?
相沢:シーズンラストの大会。ツール・ド・おきなわに勝って気持ちよくシーズンを終わりたいレースです。
また、コースが印象深いです。一言でいうと「beau cours(うつくしいコース)」。キャッチフレーズの「熱帯の花となれ風となれ」のように、沖縄のすばらしい景色を駆け抜けるダイナミックなコースですね。
道々でのみなさんの応援も楽しみです。いくら賞金が高いレースでも、地元の人たちの応援がないと楽しくないですから(笑)
以前、ツール・ド・おきなわに参戦したとき、今帰仁村の湧川小学校を訪問したことがあるんです。その訪問から毎年、湧川小学校の前で横断幕を使った応援をしてくれます。そういうのが本当にうれしいです。
一人一人の参加者に向けて、地元の子ども達からオジイ・オバアまで応援してくれるっていうのはツールドおきなわの一番いいところだと思うので。
森:地域の皆さんの応援、どこでも力いれていますからね(笑)
相沢:あと、レースからサイクリングまでサイクルスポーツには色々な楽しみ方がある中で、ツール・ド・おきなわは参加者が自転車との普段の向き合い方に応じて楽しめる、盛りだくさんなイベント・コースが用意されている唯一の大会ですよね。
それに後夜祭。エイサーやカチャーシー、こんな形で歓迎してくれるのはツール・ド・おきなわだけですね。いい汗かいた後は、後夜祭でオリオンビールと焼き豚をたべてエイサー踊って。
森:後夜祭は沖縄独特のものですね。マラソンの大会などでもみなさんやってらっしゃる。沖縄の触れ合いの文化の中で、カチャーシーやエイサーは参加した方の心を捉えるよいものですよね。かしこまる必要がまったくないし。
相沢:チームでの思い出は若手が勝ってくれたことですね。つたないアシストなんだけど、若手のみんなはその中で勝ってくれた。アシストしたことに応えてくれて、チームで獲った勝利は本当にいい思い出です。
森:ツールドおきなわで(新城)幸也が3位になった2007年は名アシストしていましたよね。
相沢:作戦が上手くいくか心配だったんですけど、宮澤1位・幸也3位といい結果につながってうれしかったですね。
魔法にかけてあげたいんです。「みんな幸也になれるんだよ」って。
森:今相沢さんがやっている「シクロパビリオン」は初心者の方に自転車をおしえたりするんですよね?
相沢:シクロパビリオンには、ほんとに色々な方に来ていただいています。
中には、ツール・ド・フランスを知らない人も来るんですね。そういう方々に自転車の正しい乗り方伝えながら、レースや幸也の話題なんかを織り交ぜて、ロードレースの魅力や自分たちのチームのアピールをしています。
森:今回の来沖で北中城高校自転車部の合宿で指導されていますね。幸也に続きそうな選手はいますか?
相沢:今回、合宿に参加して、やっぱり高校生とか中学生とかピュアなときに教えたいなって思いました。
日本の実業団チームに入って国内のレースでそこそこ走って、ツアーオブジャパンで惨敗して落ち込むっていうメンタリティが植えついてしまってはダメだと思うんです。ツール・ド・フランスを目指すには。
中高生は、「第2の幸也になれるかも?!」と聞いたら、それが目に見えるリアルタイムの目標になりますからね。その部分について沖縄に期待しているところがあって。
ここで魔法にかけてあげたいんです。「みんな幸也になれるんだよ。」って
森:それいいね(笑)夢ができるから、うれしいと思いますよ。高校生だったら夢を持つのが一番いい。子どもに夢を与えるって大きな仕事ですよ。
きっといい子ども達に育つとおもいますよ。結構ハードな練習もするし。
相沢:今回、こうやって20名近くの高校生と2晩寝食ともにしていると、僕にとっては皆が幸也にみえますよ。
北中城高校の合宿って、親ぐるみで他の子どもたちも可愛がって、朝から晩まで合宿体制を保っているのは、選手にとって本当に励みになっていると思いますよ。
森:周りからみてもすばらしいことだと思います。親子の絆がどうこう言われている時代に、これまでの事をやってくれているっていうのはいいことです。
沖縄から飛び出していくチャンスという事で、ツール・ド・おきなわでは「ラ・ポム・マルセイユ」というチームを毎年呼んでいるんですよ。
あのチームで勉強した選手ってたくさんいるじゃないですか?
そこにダイレクトに沖縄からいく可能性があるかもしれない。そういうのをやってみたいと思っています。そんなチームと連携できるようになれば、ツール・ド・おきなわの意義ってとても大きいんです。
ツール・ド・おきなわで「いちゃりばちょーでー」
相沢:じつは嫁さんと結婚できたのもツール・ド・おきなわなんですよ。
高校の頃、親の転勤で沖縄の高校に通っていたんですが、ツール・ド・おきなわに来るようになって、うちの嫁さんが毎年同窓会を開いてくれたり、こっそり応援してきてくれたりしてたんですよ。
高校3年のときの同級生で、ほとんどしゃべったこともなかったんですけど、ヨーロッパに一人で行ったときも遠くから見ていてくれたみたいで。
森:高校のころから熱々だったのかと(笑) じゃあ独身の男性はツール・ド・おきなわに来ると結婚ができるかもしれないということで(笑)
相沢:そうですよ(笑) 「いちゃりばちょうでー(沖縄方言で「出会えばみな兄弟」の意味)じゃないけれど(笑)
僕はツール・ド・おきなわが終わった後に那覇空港で引退が決まって、ほんとすごくショックだったんですよ。
で、とぼとぼと空港内を歩いて、誰にも会わないようになるべくこっそり飛行機乗ろうと思ってたんですね。でも、ソーキそばとオリオンビール飲んでいるお兄さんに、「あっ!」て言われちゃって、「あ!みつかっちゃった」ってサインしたりして(笑)。
でも、それがきっかけでその人と親しくしていただいています。パビリオンにも来ていただいたり、梅丹も応援もしていただいたり。
だから、可愛い彼女・彼氏を見つけるのもいいんですけど、同性の参加者の方とも友達になれるよいきっかけだと思いますよ。
やっぱり大会の雰囲気がいいので、レース・サイクリング以外にも色々な楽しみ方ができます。
練習された成果をレースで出す方、健康が目的で来る方、本当にみんなが楽しめるのがツール・ド・おきなわですよね。
皆さん、ツール・ド・おきなわを楽しまれてください!
最後に、沖縄 伊江島出身の母親の血を継ぐ息子には、「輪」となづけました。
いつの日か僕が勝てなかったツール・ド・おきなわで、勝ってほしいと思っています。
(2009年8月20日)
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